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所長コラム

8月:西日本で未曽有の豪雨

更新日:2018-8-1

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所長
内山 隆久

6月末から始まった大雨。九州・四国・中国・飛騨地方を中心とした豪雨で、甚大な被害が発生している。残念ながら、死者は220名を越した。

明けきらぬ梅雨前線に台風が加わり、連日の雨。48時間で1、000㎜を超し、50年に1度の気象異変という。長雨が続き、土砂崩れの発生要因が全て揃ってしまった。地表3~4mの表層崩壌のみならず、40m以上の深層崩壌が加わった。気象庁は、早くから大雨特別警報や記録的短時間大雨情報を出し、早期退避するように呼び掛けていた。

 「正常性バイアス」という語がある。過去の経験から判断して、今の状況ならば大丈夫だろうと考えてしまう。現状を甘く、軽く見てしまった。一方、着替えとか飲み水など何の準備もなく、心の余裕を失って慌てふためく人々にとって、大雨の降る暗い夜道を如何退避すればいいのだろう。昔から、非常時の避難方法や家族が離散した時の集合場所などを、平穏な時に話し合っておくように言われてはいるが…。

昔から怖いものとして、地震・雷・火事・おやじといわれるが、水害の話は出てこない。しかし、古事記の八岐大蛇(ヤマタノオロチ)は水を支配する龍神であり、櫛名田比売(クシナダヒメ)は稲田を意味する。足名椎(アシナズチ)・手名椎(テナズチ)の娘7人が大蛇に食べられてしまった。惨事を聞きつけた素戔嗚尊(スサノオノミコト)が、大蛇に強い酒を飲ませて退治し、比売を救う。氾濫する河川を治めた物語である。

江戸時代には、水を支配する魔物がいて人に災いをなし、洪水を呼ぶと考えられていた。浮世絵師 歌川国芳は、魔物と人間の戦う様を生きているように描き出している。頼朝に追われた義経が、船で摂津から西国に逃れる。俄かに空がかき曇り、荒れた海になった。壇ノ浦で藻屑と消えた平氏の亡霊が、襲い掛かる。夜叉と化した平知盛の亡霊が義経を襲う。弁慶が数珠を手に経文を唱えて追い払う。逆巻き荒れ狂う海。

五月雨や大河を前に家二軒  与謝蕪村
(何日も降り続く五月雨のなか、水嵩を増して荒れ狂う大河。対岸には二軒の小さな家が建っており、いまにも流されそうだ。) 蕪村も人間の無力に気付いたことだろう。

埼玉協同病院の近くに水神社がある。県道吉場安行・東京線の芝川橋の袂にある。芝川は享保年間に井沢弥惣兵衛為永が、河岸場から江戸へ年貢米を届けるために創った。帰り船には肥料、塩、酒が満載されていたという。船の往復道中の安全を祈願したのである。

「毎年一度や二度の水騒ぎは屹度ある。未曾有の出水と言ひ何十年振の損害と言ふもの殆ど月並的になった。一向に未曾有らしくも、何十年振りらしくも響かぬやうになった。天変地異が月並になるやうな国も困ったものだが日本人が天然に対する奴隷的服従の辛抱力は寧ろ驚嘆に値する。(昭2・9・24 大阪朝日 天声人語)」

西日本豪雨は色々のことを考えさせてくれる。亡くなられた方の御冥福を祈るとともに、被災者の復旧が早からんことを願うばかりである。

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